激動2日間 こんなはずでは・・・④(最悪の事態って?編)
いま生まれてしまったら赤ちゃんの命が危ない・・・
そんな極度の緊張で、ちいこは疲れて朦朧としてきました。
待ち続けること3時間、先生が走ってきました。
「搬送先が決まりました!これから救急車で向かいます!」
先生はNICUを備えているあらゆる病院に何度も電話をかけて頼んでくれました。
結局は、当直から日勤の医師に交代した時刻に電話をかけたことで、受け入れが許可されたようです。
ちいこが運ばれることになったのは、市内にある総合病院。
「ここのNICUはこのあたりじゃ一番いいところなんですよ。私はおすすめです」
先生にそう言ってもらえると、すこし安心。
ほんとにやっと行き先が決まったことで、希望の光がみえてきました。
まもなく救急隊員のひとたちがやって来て、ちいこをストレッチャーに乗せました。
多くのひとに囲まれ、体をベルトで固定され、天井しか見えず、なんだかすごく緊張。
産院の裏口から出た瞬間、あざやかな青い空と、朝日の強い光がとっても眩しかったことをはっきり覚えています。
いつのまにか夜が明けていたんですね。
救急車に乗ったのは、これが初めてのちいこ。
両サイドにそびえる棚にびっしりと詰められている様々な器具。
こんな状況にもかかわらず、思わず観察してしまいました。
へぇ~、こんなにいろんな器具があるんだぁ、なんて。
もしかしたら、気を紛らわせるためにそうしていたのかもしれないけど・・・
一緒についてきてくれた先生と助産師さん。
車体の揺れでちいこがストレッチャーから落ちないように、一生懸命おさえてくれました。
助手席に乗っていた夫から後で聞いた話ですが、サイレンの音量や走行速度も、ちいこの容態を気遣って微調整しながら運転してくれたそうです。
その場に、救急救命士になりたてのひとがいました。
すごくキビキビした口調で、先生に質問します。
「こちらの患者さんの場合、最悪の事態はどういったものが考えられるのでしょうか?」
えー、そんなこと患者本人の前で聞いちゃうんですか・・・
「うん、最悪の場合、この車内で出産することになるね」と先生。
・・・・・・それだけはカンベン (- -;)
搬送中も張り止めの薬を点滴していたけど、それでもときどきお腹がきゅ~っと張る。
子宮が収縮して赤ちゃんを押し出そうとしている。
その度に、脂汗をかきながら痛みと恐怖に耐えた。
受け入れ先の病院に到着したのは15分後くらいだと思う。
「最悪の事態」はなんとかまぬがれました。
救急入り口からではなく、正面玄関から運び込まれました。
こちらの方が産科病棟へつながるエレベーターに近い、という理由で。
このとき時刻は午前9時過ぎ。外来の診察が始まる時間。
ひとがあふれるロビーをガラガラと派手な音を立てて走りぬけていきます。
ひとの目が集まっているのを感じ、ものすごく恥ずかしかったです。
だって、ボサボサの髪にノーメイクの泣き顔・・・そんなこと気にしてる状況じゃないのはわかってるけど、やっぱり見られたくないよ~!
恥ずかしさのあまり硬直した顔のまま、エレベーターの中へ。
エレベーターの動きがこんなに遅く感じられたのは初めてでした。
とにかく、早く安心できる場所に行きたかったんです。
そしてようやくたどり着いた産科病棟。
ここに、ちいこと赤ちゃんの命をあずけることになります。
・・・次回につづく。
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